三菱地 脱「オフィス依存」 藤和統合でマンション首位

フジサンケイ ビジネスアイ 11月27日(土)8時15分配信
分譲マンションの業界地図が大きく塗り変わる。三菱地所が来年1月2日付で同社のマンション事業を藤和不動産と統合し、供給戸数で大京を1500戸引き離し断トツの供給会社になるためだ。少子化で国内市場が縮小する中、供給規模をてこに三菱地所が販売をさらに伸ばし、2位以下を引き離すことも予想される。しかし、競合各社も三菱地所の独走阻止に向け、エコ性能を高めた住宅などの品質強化に懸命。各社の販売競争が一段と激化するのは必至だ。

 「統合の狙いは競争に勝ち、競争優位を保つことに尽きる」

 三菱地所の木村恵司社長は、26日に開いた藤和不動産とのマンション統合会社「三菱地所レジデンス」の事業計画発表会見で、こう力を込めた。

 統合会社のマンション新規発売戸数(2009年実績)は単純合算で5775戸となり、現在トップの大京(4091戸)を上回る。

 統合会社は、資材の共同調達など合理化を加速し、15年度の営業利益を現状比5倍前後の300億〜350億円に引き上げる方針。ブランドは「ザ・パークハウス」に統一する。物件は、主に3000万〜6000万円台の価格帯を中心に供給。両社の土地取得や販売に関するノウハウを集約することで、景気低迷の中でも年5600戸程度を安定的に販売する態勢を整え、オフィスビル事業に過度に依存した三菱地所のビジネスモデル再構築を目指す。

 三菱地所が事業統合で住宅強化に本格的に乗り出したことは、ライバル各社にとって脅威だ。市場が縮小する中、販売競争の激化が確実だからだ。マンション販売は足元こそ復調傾向だが、首都圏の販売戸数は年4万戸台と、リーマン・ショック前に比べ半減まで縮小。市場が縮む中、首都圏の販売競争はただでさえ激化しており、「そこで頭一つ抜け出す三菱地所がトップの力を生かして顧客の囲い込みを進めると怖い」(中堅不動産幹部)と映るわけだ。

 とはいえ、対抗措置として激しい値下げ競争になる可能性は低そうだ。かつて数量へこだわりをみせていた大京も「数ではなく収益を追う」(山口陽社長)と、質の強化に全力を注ぐ構え。住友不動産東急不動産なども収益重視の姿勢は崩していない。ただ、各社にとって、毎年一定の戸数を売らないと安定的な利益につながらないのも事実。「戸数の確保に向け、将来的に乱売競争がないとも限らない」(アナリスト)と懸念する声も上がっている。(今井裕治)
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