店舗経営に生かす分煙対策 低予算かつ、集客にもつながる分煙ノウハウとは (2011年10月11日)

喫煙者にも非喫煙者にも満足してもらえる分煙環境はどのように作ればよいのか――。低予算でも快適な分煙環境を作るために、押さえるべきいくつかのポイントについて、これまで数多くの分煙店をデザインしてきた戸井田晃英氏に聞いた。
飲食店にとっては、喫煙者も非喫煙者も大事なお客様。双方に満足してもらえる店作りが理想だが、そのための分煙ノウハウはまだあまり知られていない。まして、不況が続く昨今、分煙対策のために大規模な設備投資は難しいという飲食店も多いのが現実だ。これまで数多くの飲食店のデザインを手がけ、快適な分煙店の設計に定評のある戸井田晃英氏は、低予算でお客様にとって居心地のよい分煙店を作るために、三つのポイントを挙げる。
空気の流れを作る

エリアを分けて分煙を行う場合、タバコの煙が喫煙エリアから禁煙エリアに流れていかないようにするために、空気の流れを作ることが重要。そのためには、風下に喫煙エリアを作ることが原則だ。ほとんどの場合、風下にあたるのが、排気口の近辺。とはいえ、タバコの煙を排出するために、喫煙エリアに新たに排気口を設けるのは資金的に難しいことも多いだろう。そこで戸井田氏は「キッチンにあらかじめ備え付けられている強力な排気設備を利用するのがよいでしょう。つまり、喫煙エリアはキッチンの周辺に設けるのです」と語る。この場合、非喫煙エリアは入り口近くにする。これにより、排気設備を新たに設けなくても、快適な分煙環境ができる。また、エアコンを利用して、喫煙エリア側に向かって空気の流れを作るのもよい。
視界を遮らない仕切りを


戸井田氏がデザインを手がけたフレンチの店「D BRASSERIE & SWEETROOM」。喫煙エリアの仕切りにオーガンジー生地の半透明なカーテンを利用している(画像クリックで拡大)
店舗で分煙をする場合、ガラスや壁で喫煙エリアと禁煙エリアを完全に仕切るケースもある。確かに、物理的に仕切りを設ければ煙やニオイが禁煙エリアに流れるのを防ぐことができる。しかし、その一方で、店内に新たな壁を設けるため、多額の費用がかかってしまったり、スペースが狭くなったような印象を与えたりする懸念もある。戸井田氏は「神奈川県のように厳しい条例が施行されている地域は別として、先述した『空気の流れを作る』ことに加えて、エアカーテンの設置や、布のカーテンで仕切りを設けることで、かなりの分煙効果が期待できます」と説明する。さらに、布のカーテン素材の選び方にもポイントがある。「オーガンジー生地と呼ばれる、半透明の素材を使うとよいでしょう。視界をあまり遮らずに済むうえに、光沢のある生地のため、おしゃれなイメージも演出できます」
喫煙エリアのデザインや配置場所を工夫する

戸井田氏は、喫煙エリアを単に「タバコを吸うためだけの空間」として店内に配置するのはもったいないと語る。「タバコを介することで、コミュニケーションを円滑にすることもあるでしょう。私は、喫煙エリアをお店の雰囲気づくりに活用することを提案します」。喫煙エリアのデザインや配置場所などを工夫し、より活発なコミュニケーションが生まれるような場にすれば、店舗に活力が生まれる。「常ににぎやかな雰囲気を演出することで、集客効果も期待できます」と持論を述べる。
分煙といえば「設備投資に時間とお金がかかる」ことが心配される。しかしこれらの分煙対策ならば低予算でできるのはもちろん、分煙を上手く活用することで、経営にもプラスに働かせることができるだろう。

戸井田晃英(といだ・あきひで)
1968年、鎌倉市生まれ。スーパーポテト勤務を経て、2000年グローバルダイニングに入社。「権八」をはじめとする大型店舗のデザインを手がけるなかで、ビジネス視点から見た店舗デザインを学ぶ。04年、独立して有限会社アッタを設立。分煙が求められる店舗のデザインを多く担当する。
http://nr.nikkeibp.co.jp/bunen/knowhow/201110/

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