かつやvs.松屋、「カツ丼戦争」勃発! ロース肉増量で迎え撃つアークランド

東洋経済オンライン2013年03月05日06時00分

カツ丼・トンカツ専門店「かつや」を展開するアークランドサービスが好調だ。
揚げ物系の食材であるため、牛丼などに比べればオペレーションが複雑で多店舗化が難しいとされるカツ丼・トンカツ業界。その中で店舗数では首位に立ったアークランドサービスだが、早くも牛丼など同じ外食の異業態大手から、この業界に触手を延ばす動きが盛んになりつつある。
■和幸、浜勝、さぼてん抜き、店舗数首位に
アークランドサービスは、新潟地盤にホームセンターを展開するアークランドサカモトの子会社。前2012年度(12年1〜12月)は売上高127億円(前期比17%増)、営業利益19.6億円(同32.3%増)と過去最高を記録した。
店舗数もトンカツ業態としては209店(その他業態も含めれば219店)に達した。トンカツ業界のライバルとの比較では、和幸グループが展開する「和幸」約170店、リンガーハットの「浜勝」105店、グリーンハウスグループの「新宿さぼてん」74店などに差をつけた。
業績好調の理由は主力業態「かつや」の既存店売上高が順調に増えている点にある。07年から客数拡大キャンペーンとして、それまで年4回程度だった季節限定メニューの投入回数を、8回、12回と徐々に拡大、12年は期間限定の値引きも実施した。さらに宅配や持ち帰り弁当といった店舗増収策を積極的に導入してきた。
その結果、「かつや」既存店売上高の前年度比伸び率は、アークランドサービスジャスダックに上場した07年度こそ97.1%と前年を下回ったが、以後は、テレビのバラエティ番組露出の反動があった11年度を除き、100%超を維持している。
■営業時間は短いのに、月商は牛丼店並み
「かつや」1店舗あたりの月商は07年度の670万円から12年度には722万円まで上昇した。営業時間が朝10時30分〜深夜2時と、24時間営業の多い牛丼チェーンより短いにもかかわらず、月商ではほぼ同水準まで拡大している。
FCでの出店が拡大していることも業績押し上げの要因だ。これまで直営店とFC店の出店数比率はほぼ1対1だったが、12年度からFCの出店数を増やす方向に舵を切った。前12年度の出店は直営10店に対し、FCが27店と大きく上回った。
この結果、12年12月末の店舗数は直営103店に対しFC116店(11年12月末は直営99店、FC94店)と、FCが直営の店舗数を3期ぶりに上回った。
今後は「直営店とFC店の店舗数比率を1対2まで引き上げたい」(玉木芳春常務)としており、FCによる出店を加速化する方針だ。直営店より経費がかからないFC店が増えたことで採算が改善している。
松屋、「100店ぐらい一気に増やせる」と本腰
業態トップとしてこれで安泰、というほど外食業界は甘くない。三光マーケティングフーズが焼き牛丼「東京チカラめし」で牛丼業界に風穴を空けたことにより、同じ外食業界内部でも、他業態への進出が注目を集めている。
しかも、トンカツのような揚げ物系は、牛丼などに比べてオペレーションが複雑なために多店舗化が難しく、圧倒的なシェアを握る会社が出てきにくい。そうした事情も、他業態からは魅力に映る。
すでに牛めしの「松屋」を展開する松屋フーズは、トンカツ事業を今後拡大する方針を打ち出している。松屋フーズは2004年から「チキン亭」でトンカツを販売しており、現在は「松乃家」「松八」といった業態を中心に、33店舗(12年12月末時点)を展開する。
「トンカツはまだ出店余地が大きい。100店舗ぐらいは一気に増やせるはずと社内に発破をかけている」と松屋フーズの鈴木治夫専務は意気込む。
■ロース肉増量や天丼育成などで迎え撃つ
カツ丼・トンカツ業界での競争激化を見越して、アークランドサービスは天丼「あきば」など、次の主柱となる業態の育成を進めるが、ようやく2店舗という段階だ。
一方で、足元で好調なカツ丼の競争力を高める施策にも注力している。
2月22日からは、「かつや」全店でカツ丼(竹)やロースカツ定食に使用する米国産の豚ロースを従来の110グラムから、120グラムへと約10%の増量に踏み切った。玉木芳春常務は「お客様への還元」とその狙いを説明するが、先行して増量することで差別化を図る狙いもありそうだ。
アークランドの今13年度は、こうした豚ロース増量に伴い原価が膨らむことに加え、持ち帰り弁当併設のために改装費用も増える。売上高145億円(前期比13.3%増)、営業利益21.8億円(同11.1%増)、既存店売上高横ばいの横ばいと、依然2ケタ増収増益ながら、前年度に比べれば伸び悩む見通しだ。
ただ、「顧客還元」も改装費用も、これまでの好調を持続するための先行投資と見るべきだろう。売り上げ規模でも店舗数でもアークランドサービスを大きく上回る、牛丼など外食異業態の参入を迎え撃つ態勢をどう築き上げるかが、当面の大きな課題となりそうだ。

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