消臭芳香剤 「香り」で覇権争う ニーズの変化、敏感に対応 (1/2ページ)

2010.12.14 05:00
消臭芳香剤をめぐる覇権争いが激しさを増している。花王とP&Gが香りのよさに重きを置いた室内用の置き型商品を投入すると、2強の小林製薬エステーも追随した。長引く景気低迷で消費者が外出を控え自宅で過ごす時間が増える中、日常生活で香りを重視する傾向が強まっているためで、各社とも顧客の囲い込みに躍起だ。

 東京都内の大型ドラッグストア。商品棚には「いい香り」をうたった見た目もおしゃれな消臭芳香剤が並ぶ。商品を手にとった20代の女性は、「上品で落ち着いて過ごせる部屋になりそう」と話した。

 花王では、8月末に投入した室内に置く「置き型リセッシュ」(400円前後)が好調だ。発売後約3カ月で出荷は計画を約5割上回ったという。悪臭成分を香りに変える技術を採用し、かんきつ系など4種類の香りをそろえる。好調の要因を「リラックス効果を求める層を取り込んでいる」と分析する。

 P&Gも同じく、8月に置き型の「お部屋のファブリーズアロマ」(450円前後)を発売した。せっけんなど5種類の香りで、販売は好調だ。11月には同商品や柔軟剤など9商品で香りにこだわった「調香師セレクトの香り」シリーズも発売している。

 “巣ごもり”需要を追い風に「香りを求める消費者は2004年に比べて約4割増え、その傾向はますます強まっている」(P&G)としており、花王もP&Gも香りを演出する室内用の置き型商品の販売に踏み切った。

消臭芳香剤市場で“ツートップ”の小林製薬エステーも黙ってはいない。小林製薬は9月、「消臭元アロマ」(367円)、「消臭元スティックフラン」(630円)を投入した。天然由来の香り成分でそれぞれ3種類を展開している。11月からはプレゼントキャンペーンも展開し、シェア固めに力を入れる。エステーも9月、バラなど4種類の香りの「マイアロマスティック」(756円)を発売。「『手軽に華やかな雰囲気を演出したい』という新たなユーザーを取り込んでいる」。

 民間調査会社の富士経済によると、トイレ用を含む消臭芳香剤の今年の国内市場は、前年比1.5%増の457億円と見込まれ、増加傾向だ。小林製薬は「香りにこだわった商品が消臭系の商品よりも伸びており、市場を牽引(けんいん)している」とみている。

 同社などによると、現在の市場シェアは小林製薬が約40%とトップで、エステー(約30%)、P&G(約15%)の順に続くが、相次ぐ商品投入で勢力図が塗り変わる可能性もある。年末の大掃除を控え、部屋の模様替えのための購入も増えそうで、シェア争いは熱を帯びている。(中村智隆)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/101214/bsc1012140502001-n2.htm

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