西川産業の若き社長は、創業444年の老舗をどう率いているのか

Business Media 誠 12月17日(金)11時23分配信
戦後の廃墟から立ち上がり、豊かさを求めてひたすら働き続けた日本人。「惰眠を貪る」という表現に現われているように、睡眠はムダなもの、非生産的なものと思われがちだった。

毎日、他人より1時間でも、いや1分でも長く働く人が賞賛され、日々の会話の中でも、「睡眠時間を削って頑張る」「本当に疲れていれば、どんな環境でも1分以内に熟睡できる」といったフレーズが頻繁に飛び交った。睡眠をめぐる、こうした価値観は、今なお、多くのビジネスパーソンの心の中にあるに違いない。

 しかし、「仕事のパフォーマンスは睡眠の質で決まる」ことを知ったならば、果たしてこのような価値観を堅持できるだろうか? 私自身、認識不足だったのだが、睡眠の質の優劣こそが、その人の知力や感情の安定、行動力、態度、表情、存在感、持久力など、ビジネスライフのあらゆる要素に影響を及ぼし、仕事のパフォーマンス・レベルを規定することが今や明らかにされているようなのである。仕事だけではない。現代病と言われる病気の数々もまた、睡眠の質の優劣と深い関係があるという。

 それを教えてくれたのが、今回の主役・西川八一行(にしかわ・やすゆき)さん(43歳)だ。今年で創業444周年を迎える老舗企業、西川産業の若き社長である。

●「西川産業アイデンティティは“寝具メーカー”ではありません」

 「西川のムアツふとん」を初め、数々のテレビCMでもお馴染みの西川産業。寝具のトップメーカーだと思いがちだ。しかし、同社のアイデンティティを尋ねると、西川さんはそれをきっぱりと否定した。

 「弊社のアイデンティティをキーワードで表わすならば、いわゆる“寝具メーカー”ではありません。“お客さまの、よりステキな明日を作ること”こそがアイデンティティなのです。

 現在は快適な睡眠を通じて、あるいは快適な住環境を通じて、お客さまに元気な明日、ステキな明日をご提供していますが、それは現業がそうだからということであって、今後もずっと睡眠だけを売る会社かと言えば、決してそのようなことはありません」

 それならば例えば、スポーツ関連や、化粧品などにも進出していく可能性があるということだろうか?

 「そうした分野との親和性は非常に高いと考えています。実際すでに、睡眠がスポーツのパフォーマンスにおよぼす影響を研究し、パフォーマンスを高めるための技術開発、商品開発を行い、アスリートの方々に使っていただいています。このような形で、スポーツ分野への進出はすでに始まっています。スポーツ以外でも、例えば睡眠の質が美容に及ぼす効果などに関しても同様に研究を進めています」

 老舗の布団屋という印象があった西川産業。しかし、その素顔は、睡眠や住環境を1つの切り口にしつつも、最先端の科学的研究をベースに、より広く、さまざまな分野のプロフェッショナルな方々の仕事のパフォーマンスを高め、あるいは人々のクオリティ・オブ・ライフを高めていくことを志向しているようだ。

 そして、こうした先進性こそが、江戸時代に創業して以来、同社の経営を特徴付けてきたファクターなのである。

●江戸時代から現代へと続く「先進性」

 「創業は1566年です。近江出身の初代は、蚊帳や畳表を販売する家業を起こし、1615年に江戸・日本橋に店を出しました。画期的だったのは7代目で、新興商人たちが力を増し古くからの商人が没落していく経済環境の中で積立金制度を編み出したのです。「普請金(再建費用)」「仏事金」「用意金(本家の不慮の出費対応)」の3つの積立金を用意し、これを運用して着実に利益をあげて経営を安定させました。

 江戸時代は火災や天変地異などが多くありましたが、災害時にいち早く商品を供給できたのも積立金があったからですし、それに何より社会のインフラを担っているのだという使命感があったのだと思います。

 また、この時代に、奉公人に対するボーナス制度(「三ツ割銀制度」という決算賞与的な一時金)を導入することで、モチベーションアップを図ったことも注目されます」

 そして迎えた明治維新。それまでの価値観はひっくり返り、主要顧客だった支配階級は没落。「四民平等」の新しい環境下、「富国強兵」「殖産興業」の旗印のもと、日本全体として経済力を高めていく中、より広い顧客ターゲット層を対象にすべく始めたのが布団の製造・販売であった。蚊帳は季節商品だが、布団はオールシーズン使用されるため、これによって経営が安定するようになった。

 その後の同社の布団ビジネスの歴史で最大の転機となったのは、1958年に繊維メーカーとのコラボレーションで開発した「合繊安眠デラックス綿」である。それまでのような打ち直しも不要でありながら、真綿のような感触で、神武景気岩戸景気と続く空前の好景気を背景にヒットし、洋掛け布団ブームを起こした。

 高度成長も終盤の1971年(2年後に第1次石油ショック)には、業界初となるファッション・ブランドとのコラボレーションを開始する。

 「生活の洋風化が進み、布団はしまって隠すものから見えるものへと変化し、ファッション性が、寝具において付加価値として認められるようになったということです。

 それにまた、買い換え需要にだけ依存するのではなく、経済の高度成長を通じて豊かさを増した人々の需要を積極的に喚起する意図もありました」

 今日の同社の経営へのインパクトという点で特に重要な転機となったのは、1984年の日本睡眠科学研究所の設立だろう。時あたかも、日本に豊かな社会が到来する契機となったと評されるプラザ合意の前年であり、こうした研究所の設立は業界初であったという。

 「寝具の機能を、感覚ではなくて、科学的に裏付けていこうと考えたのです。温度や湿度を始め、環境は睡眠にどんな影響をおよぼすのか、また睡眠の質によって目覚めた後のコンディションにどんな違いをもたらすのか、というように睡眠を“科学する”ことを目的としました」

 1990年代以降、さまざまな分野で本物志向が日本の消費者の間に広まるが、科学的な裏づけを伴う“本物”の商品を開発するための研究は、この時点からスタートしたということになる。

●時代のキーワードは「自己投資」

 時代の節目ごとに、来たるべき環境変化を読み切り、非連続・現状否定型の経営革新で、新たな成長機会を自ら創出してきた西川産業であるが、西川さんが見る、現代における「時代のキーワード」は何なのだろうか?

 「キーワードは“自己投資”だと思います。ここで言う“自己”とは、自分自身はもとより、家族や地域も含みますが、そうしたものに投資する時代だということです。

 ポイントは2つあります。1つ目は物質的な満足感から、美や健康の追求、社会の役に立っている満足感、自ら何かを発見する喜びへのシフト。2つ目は待っていれば与えられるという姿勢から、自分から選択して取り入れる姿勢へのシフトです。

 いつまでも美しく若々しくありたい、健康でいたい、地球環境を大切にしたい、そういう価値観を持てることが賢いのだ、という思い。一見、世間の風潮に踊らされているようでいて、実は自分でそれを選択しているのだ、ということに人々が優越感を感じる時代だと考えています。

 弊社としては、人々のそうした意識を、いかにして自社の商品に結び付けていくかが問われると思うんです。それゆえ、『なぜ自分に必要か』『この商品を使うことで、どんな“より良き明日”が訪れるのか』を納得してもらうためのストーリーを作ることが大切になってきます」

 しかし、仮に「自分はこういう商品こそが必要だったのだ」と頭で理解したとしても、多くの生活者はそれだけで具体的な購買行動に出るというわけではないのではないか。

 「その通りです。ですから、左脳的な科学的裏づけを明確にしつつも、特に入り口の部分では、顧客のニーズに密着した、女性的・右脳的な“美しい”“かわいい”といったファッション性や流行などの感性面を刺激することが大切だと考えています」

●日本のおもてなしの心は「ウォンツの掘り起こし」にある

 西川さんのお話をお聞きしていると、世の中の顕在化した欲求(ニーズ)に即応すると同時に、生活者1人1人が抱く、漠然とした、まだ自分で明確に言語化できていない潜在欲求(ウォンツ)を掘り起こしているように見えるが……。

 「日本の伝統文化を考えると明らかだと思いますが、日本人のおもてなしの心というのは、お客さまから要求されたものを提供することだけではないと私は思うのです。むしろ、お客さまの状況を察して、『こんなことをすれば喜んでいただけるのではないか』と思えることを、お客さまが気付く前に、さりげなく行うことだと思います」

 ニーズ即応にとどまらない、自社のシーズを顧客のウォンツに訴求する姿勢であろう。そして、それを可能にしているのが、日本睡眠科学研究所におけるシーズの蓄積ということになる。

 とはいえ、それは「言うは易く、行うは難し」だ。営業サイドは市場ニーズに敏感に反応しようとする一方、研究所サイドはシーズ先行で発想するから、両者の間には厳しいせめぎ合いが生じやすい。

 「そういう場合に議論のベースになっているのが、実は経営理念群(社是や企業理念など)なのです。社員全員が経営理念群の書かれたカードを日々持っていて、打ち合わせや会議などでも、例えば『営業サイドや研究サイドの主張する内容は、社是や企業理念に照らして適切と言えるか』といったことが議論されるのです」

●経営理念群を日々の業務に生かす効果的な方法

 西川産業の経営理念群は、「社是」「企業理念」「求める人材像」「自律(自主・自発・自立)のための5つの法則」から成り立っているが、まず「社是」と「企業理念」を紹介しよう。

●社是

「誠実」「親切」「共栄」

●企業理念

 西川産業は、新しさのある価値の高い商品を通じて、一人でも多くのエンドユーザーにホームファッションを核とした優れた住文化、より良い睡眠環境、健康で快適な生活、くつろぎ・やすらぎの空間を協力して積極的に開発・提案し、広く社会に貢献することを使命とする。

 「誠実」「親切」「共栄」

1.社会に対して誠実か、社会に対して親切か、社会との共栄意識があるか。「社会への貢献を認識して、世界的な基準や手法を取り入れ、プロとしての誇りを持とう」

2.消費者に対して誠実か、消費者に対して親切か、消費者との共栄意識があるか。「エンドユーザー第一主義を認識して、会社の論理を捨て、エンドユーザーの笑顔のために働こう」

3.お取引先に対して誠実か、お取引先に対して親切か、お取引先との共栄意識があるか。「お取引先との相互発展を認識して、双方の役割と責任を明確にした提案中心の営業活動をしよう」

4.社内に対して誠実か、社内に対して親切か、社内との共栄意識があるか。「社内協力の重要性を認識して、気さくで真面目な話し合いとルールが基盤となった透明でオープンな社風を作り上げよう」

 現代企業の社会的責任の対象は、非上場企業であれば「顧客」「従業員」「取引先」「(地域)社会」だが、西川産業はこの4者に対する自社のあるべき姿勢を、「企業理念」で明確化しているのである(ちなみに西川産業は非上場)。

 そしてその内容は、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という近江商人伝統の「三方よし」を、現代の経営環境の中でどのようにしたら具現化できるかを示したものであるとも言えよう。

 「例えば市場動向から見て、短期間しか使えないが、とにかく低価格の商品が売れそうだという話が出てきた場合、この『社是』や『企業理念』の各項目に照らして、そのような商品を提供することが弊社として適切かどうかが議論されるわけです」

 誠実、親切、共栄というキーワードは、普通名詞として分かりやすい言葉だと思うが、それだけにそれを使う人によって、受け止め方や定義の仕方に微妙な差異が生じ、企業活動でブレを生じさせる原因にもなるのではないだろうか?

 「細かく定義付けるようなことはしません。微に入り細にわたって規定しても、そこに書かれたことだけやっていれば良いという考え方にもなりかねませんし、千変万化する環境変化への対応が逆に難しくなります。

 むしろ多少のあいまいさを残しつつも、ケーススタディ的に何か象徴的な事例を示して、それに関して経営理念群に照らして、自社だったらどのように対応すべきかを明らかにしていく方が良いと考えています。

 弊社では毎月1回行われる朝礼で、世間を騒がせた偽装問題などの社会的なトピックを取り上げて、そうした企業行動が社会、消費者、お取引先、社内に対して、誠実、親切、共栄と言えるかどうかを私から話すようにしています。経営理念群を、個々の社員が体現できるようにするためには、成文法よりも慣習法の考え方の方が良いと私は思います」

●老舗企業としての不変の対象は?

 西川産業は、444年の歴史を持つ老舗だが、同社において何があっても決して変えてはいけないもの(=不変の対象)とは何なのだろうか?

 「江戸時代以来受け継がれてきた誠実、親切、共栄、そしてそれに基づく商品の価値観や品質、信頼感は、何があっても決して変えてはいけないと考えています。

 そして、もう1つ挙げるならば、弊社にとっての“メタ・コンピタンス”と言っていい歴代のオーナーの哲学です。それは『売れさえすれば良い』という発想の逆を行く、『短期の変動に惑わされない力』『人々に使っていただいて幸せになっていただくことへの思いの力』です」

 100年、200年、あるいは1000年も続く老舗の当主のお話をうかがうと、必ず「自分たちは自己を取り巻く森羅万象によって生かされているのであって、そのことへの自覚と、自分を取り巻くあらゆる存在への感謝の念は、時代を超えて堅持すべきものである」と言っている。

 「まさにその通りですね。社是に基づき、企業理念においては社会、消費者、取引先、社内との、誠実・親切を通じた共栄の実現をうたっています。そのことからも明らかなように、自分たちは、全体との調和を図りつつ、自己を取り巻くあらゆる存在によって"生かしてもらっている"ということを常に認識し、そのことへの感謝の心をカタチにして現わしてゆくことは大切です。それはまさに『不変』の対象です」。

 そうした不変の貫徹は、具体的にどのような企業行動として現れているのだろうか?

 「弊社は江戸時代以来、良いものを最後まで使い切る循環型の商売をしてきました。ですから、たとえ世の中が使い捨てを良しとする価値観であっても、それにくみしません。

 寝具は長く使うものです。途中、傷むこともあるでしょう。ですから、売りっ放しにすることなく、お客さまにはさまざまなアドバイスをさせていただきつつ、適宜、修理を施すなど、アフターフォローをしっかり行うことを大切に考えています。

 それでも、やがては使えなくなるでしょう。そうなったものは再利用します。それもダメになったら最後は焼却せざるを得ず、環境に負荷がかかることも考慮しないといけません。そういうこともあって、対象商品を1点購入していただくごとに、1本ずつ内モンゴルに植林するようにしています。年平均1万本で、すでに6万本以上を植林しました。

 もう1つ、例を挙げましょう。弊社では長年にわたって繊維産業の方々とお付き合いしていますが、そうした企業内では、寝具用に開発したものだけでなく、さまざまな事情でお蔵入りした商品も決して少なくはありません。

 そうした、かつて陽の目を見なかった商品の中から、逆に現代だからこそお客さまに喜んでいただけるようなものを再発見して、今の時代に合わせて商品化して世に出しています。そうすることによって、結果として研究開発費の回収にもつながり、資源のムダを軽減することができます」

西川産業にとっての革新の対象は?

 西川産業の不変の対象についてお聞きしてきたが、その一方、環境変化に即応して非連続・現状否定型で変えていかないといけないもの(=革新の対象)は何なのか?

 大局的に見ると、戦後復興以降、日本の産業社会にすっかり根付いてしまった感のある「睡眠(環境)軽視」ともとれる価値観こそ、まず変えていくべき点と思えるが。

 「睡眠の質こそが“よりステキな明日”を作ってくれるということを、まだまだお伝えしきれていないと痛感しています。そういう意味で、海外市場もさることながら、日本市場は今後まだ掘り起こしていく余地が残っていると感じます。

 そのためにも、時代とともに、環境変化に即応して、お客さまへの見せ方を変えていくことが大切だと考えています。

 例えば以前は、寝具のスペック(計数的な要素)を大事にしていて、それをお客さまに訴求する手法が取られていました。しかし今、そのようなことばかりしていても、お客さまの心にトキメキを起こすことはできません。

 先ほど申し上げたように、今は使い勝手や感触といった感性的なものが重要です。これがあれば明日ウキウキできるというような、計数的な測定ができない要素こそを大事にしないといけないのです。

 時代は、“所有価値”から“経験価値”“再発見価値”へとシフトしています。我々もその変化に対応していく必要があります」

●西川八一行社長のリーダーシップの源泉

 軽視されてきた睡眠(環境)についての日本人の認識を改め、「よりステキな明日」を提供してゆくために、これからも西川産業の挑戦は続いていくだろう。そして、それを成功裏に進めるためには、同社の組織能力を遺憾なく発揮させる努力がこれまで以上に必要となるに違いない。

 老舗企業であれば、洋の東西を問わず必ず経験することであるが、経営者が代替わりした場合、先代以来のベテラン社員たちは、先代を慕い懐かしむあまり、新社長の経営革新を喜ばないケースが見出される。

 1996年に20代で取締役に就任し、2006年に30代の若さで社長に就任した西川さんは、そうした難しさをどのように克服し、リーダーシップを確立していったのだろうか。

 「社長就任前に構築した企業理念こそが、リーダーシップの拠り所になりました。若く経験の浅い段階で、今までとまったく異なる新しいことを社内でやろうとしても、説得力はありません。しかし、江戸時代以来、代々継承されてきた自社ならではの商いの精神であれば、誰もが耳を傾けざるを得ません。

 そこで私は創業以降の古文書に目を通し、西川家の家訓や哲学、各種制度を検討し、それに基づいて企業理念を構築しました。これを作ったことで、現実の経営判断に際して、創業以来の精神に照らして適正と言えるかどうかという点からの社内合意が形成できるようになりました」

 外部の人間から眺めるならば、“西川”の名を冠する人物がトップを務めるファミリー企業ということで、創業家とその関連の人々と、そうでない人々との間に壁があるのではないか、それが社内の風通しを悪くしているのではないかとの懸念も持ちやすいのだが。

 「弊社の場合、会長と私だけが“ファミリー”なので、同族会社的な派閥対立のようなものは社内に存在しません」

西川産業全体を包むダイナミズムの創出

 壁のない組織であるとしても、組織全体として躍動するためには、社員1人1人のモチベーションを高めていく必要があろう。そのための仕掛けとして何か制度化されたものはあるのだろうか?

 「まず前提として、社員1人1人が自己のミッションを明確にした自己革新型のビジネスパーソンとして日々活動できるよう、具体的に方向付けています。それが、経営理念群のうちの『求める人材像』『自律(自主・自発・自立)のための5つの法則』です。

●求める人材像

1.変革力……変革の目的・意図を明確にした目標を掲げ、変革に向けて人・組織を動かす力

2.お客様志向……変化しようとするお客様の潜在的・顕在的ニーズを常に知ろうとする視点を持ち、より高い価値を提供しようとする姿勢と実行する力

3.成果思考……従来型思考、ことなかれ主義を否とし、努力と工夫と行動を通じて、高い目標を達成する力

4.協働能力……内外のパートナーと効果的に連携しながら高い成果を創出する価値を理解し、実行する力

5.ビジネス志向……多様なビジネスチャンスを適格に察知・確保し、利益の拡大につなげるセンスの力

6.市場の知識……お客さま、競合、パートナー、環境の変化を通じて市場全般に関する深い見識を持つ力

7.異文化対応能力……習慣、文化が異なる組織、地域、市場、新しいルールや手法に柔軟に対応する力

●自律(自主・自発・自立)のための5つの法則」

1.自ら学ぼうとする姿勢
2.自ら情報を発信しようとする意欲
3.自らにくやしいと思う向上心
4.自ら何をなすべきか考える力
5.自らやり抜き実現させる意思

 「これらを前提にしつつ、社員のモチベーションを上げていくために、毎月、月間MVPを選出するようにしています。弊社では成果主義を採用していますが、このMVPは月ごとの売り上げの多い人を表彰する制度ではありません。

 これまでの例でいうと、半年間売り上げがなかったものの新しい販路の開拓に成功した人、命令がなくても主体的に取り組んだ人など、総じて『求める人材像』『自律(自主・自発・自立)のための5つの法則』に合致した人が選出されているのが特徴です」

 業務上の高く険しい目標にチャレンジする際に失敗は付きものだ。社員の失敗に対する対応次第で、社員のモチベーションは上がりも下がりもするが、どのように対応しているのだろうか?

 「ケアレスミスや機会主義的な行動、あるいは途中で妥協に転じた場合などはNGです。しかし、革新的なチャレンジの失敗は許容します。ただし、利益の損失は2年までです」

 経営理念群に照らして、積極的な意義が認められる失敗は許容するということなのだろう。

 「伝統は革新によってこそ生きる、革新なき伝統は伝承に過ぎない」とよく言われるが、創業以来の商いの精神を経営理念群として日々の行動のベースに据えて、業界を代表する先端企業として存続している西川産業。これから先、我々に一体どんなステキな明日を提供してくれるのだろうか? 今後の展開が楽しみである。【嶋田淑之,Business Media 誠】
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