健康・内食…惑う外食 王将・日高屋、夜間客減少で低迷

 低価格を売り物に急成長した外食チェーンの「餃子の王将」と「日高屋」の売り上げ低迷が続いている。

 既存店売上高は昨年半ばからマイナスが続き、東日本大震災後の消費自粛によりその傾向に拍車がかかった。足元では回復傾向もみられるものの、特に夜間帯の来店客の減少が目立つ。背景には健康志向、内食志向の高まりというライフスタイルの変化があるようだ。これは外食産業共通の課題ともいえ、再び成長軌道に乗るには新たな戦略が必要といえる。

 ◆昨年から「陰り」

 「王将と日高屋、どっちにしようか」−。東京・水道橋では隣同士に並ぶ両店の前は、夕方からは会社帰りのサラリーマンやOL、東京ドームのイベント客らでにぎわい、外食チェーンがひしめき合う激戦区だ。

 「餃子の王将」水道橋店は王将では都内最大級。震災前は1日で1000人前のギョーザが供され、売上高は1日当たり約2800万円だった。だが、震災後は東京ドームでのイベントが相次いで中止となった影響などで、売上高は3割も減少した。

 これに対応し、デザート付きの女性向け定食セット(735円)や、ギョーザ食べ放題の宴会プラン(2625円)を用意。午後4時スタートの場合は、サマータイム割引として1人200円を値引くなど新サービスも導入。努力の結果、6月の売上高は「震災前の水準に近づいた」(平山典晃店長)という。

 「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは、テレビ番組に相次いで取り上げられたことで既存店売上高が2010年5月月まで34カ月連続で前年同月比プラスを記録したが、昨年6月を機にマイナスに転じる。

 その理由を鈴木和久専務は「ブームが落ち着いただけ」と冷静にみるが、「震災後は節電などで帰宅時間が早まり、夜9時以後の来店客数が減ったまま戻らない」と嘆く。今後は発祥の地である関西に比べ出店余地のある関東で、ショッピングモールなどに積極的に出店して売上高を確保したい構え。だが、夜間帯の回復には有効な打開策は見いだせていない。

 一方、「熱烈中華食堂 日高屋」を展開するハイデイ日高も既存店売上高は昨年半ばから下降線だ。今年6月は前年同月水準に戻したが、これは昨年6月がサッカーのワールドカップが開かれた影響で顧客数が激減したことによる特殊要因という。

 震災後の3月は夜9時以降の売上高が震災前の3割減、5月も同12%減と振るわない。利幅の大きいアルコール類を注文する顧客が減り、客単価も下がった。ハイデイ日高の島需一経営企画部長は「売上高は昨秋からマイナス基調。夜は自宅で食事をする人が増えたからではないか」と分析する。

 同社は女性顧客を中心に新規開拓を目指す。成人が1日に摂取が必要とされる野菜量、350グラムを入れた「野菜たっぷりタンメン」(490円)は一番人気。開店時間も早め、今後は朝食需要を開拓しようと「朝ラーメン」を導入する計画もある。

 ライフスタイルの変化を感じ取っているのは、イタリアンレストランを展開するサイゼリヤも同じ。同社は5月末までに全店で24時間営業を打ち切った。「深夜の客は以前から減っており、いまも夜間の来店者は減少傾向」(IR担当)のためだ。

 低価格で「イタメシ界の『王将』」(外食業界関係者)ともいわれるサイゼリヤの既存店売上高も、今年6月を除き昨年秋から前年割れが続く。同社も、生野菜をトッピングする「サラダピザ」など女性向け新メニューで新規顧客の開拓を急ぐ。

 ◆安い・多いだけでは

 外食産業総合調査研究センターによると、2010年の外食産業の市場規模は前年比微減の約23兆6000億円。35年前の1975年(約8兆6000億円)の2.7倍に成長した。女性の社会進出や核家族化に伴って家庭内の食事を取り込む形で市場を拡大してきたが、今年は震災による自粛の影響もあってマイナス成長となる可能性が高い。

 同センターの中井尚事務局長は外食産業について「高齢化社会を迎え、若い人に安くてボリュームある食事を提供するビジネスモデルだけでは難しい。消費者が望む健康・安全・安心にどう応えていけるかが課題」と話している。(藤沢志穂子)

http://www.sankeibiz.jp/business/news/110719/bsc1107190502000-n1.htm

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