“バニラ味のコカ・コーラ”はどんな味? 100種類以上のドリンクを作り出す「次世代自販機」の実力

nikkei TRENDYnet 8月4日(木)11時6分配信

 これまでの常識を打ち破る次世代カップ自動販売機(ディスペンサー)が登場した。日本コカ・コーラの「コカ・コーラ フリースタイル」だ。国内1号機は、2011年8月2日に羽田空港第二旅客ターミナル内のレストラン「エアポート・ダイナー」に設置された。

 コカ・コーラ フリースタイルの最大の特徴は、1台で112種類ものドリンクを選べるところ。飲食店などに置かれている従来型のディスペンサーは、1台で4〜5種類が限度だったので、一気に約20倍も選択肢が増えた形だ。

 ドリンクは、自販機の前面にあるタッチパネルを操作することで簡単に選べる。「コカ・コーラ」「コカ・コーラ ゼロ」「カナダドライ」「アクエリアス」「スプライト」など、基本となるブランドが14種類あり、それらのオリジナルのほか、オレンジ、グレープ、チェリーといった最大8種類のフレーバーを組み合わせたドリンクを“自作”できる。例えば、コカ・コーラには「オリジナル」以外に、「レモン」「オレンジ」「グレープ」「ピーチ」「チェリー」「ライム」「バニラ」というフレーバーがラインアップされている。各ブランドに設定されたフレーバーは似通っているが、「組み合わせる基本のブランドによって最適な濃さに調整している」(日本コカ・コーラ渡辺明彦カスタマー&コマーシャル本部ディレクター)という。

大半は誰もが初体験のフレーバー

 面白いのは、基本ブランドとして「ファンタ ゼロ」「スプライト ゼロ」「Hi-C ゼロ」、軟水の「DASANI(ダサニ)」「DASANIスパークリング」といった日本未発売の製品がある点(DASANIは東日本大震災後、約4800万本を緊急輸入)。さらに、コカ・コーラコカ・コーラ ゼロには「バニラ」、スプライトとスプライト ゼロには「ストロベリー」と、ほかのブランドには設定されていない独自フレーバーも存在する。112種類のうち大半が飲んだことがない“未知の味”であり、非常に興味がそそられる仕掛けになっている。

 試しに、一時期日本でも販売されていたバニラ風味のコカ・コーラに挑戦してみた。コーラ独特の味わいより先にバニラがフワッと香る何とも不思議なコーラだが、オリジナルより甘みがやや強く感じられ、疲れたときに飲むと癒やされそう。それに対してライム風味のコーラは、炭酸感が強調された印象で、非常にすっきりとした味に仕上がっていた。フレーバーを変えているだけだが、味は明確に差別化されており、100種類以上の組み合わせをすべて試したくなる。好きなブランドのドリンクを、そのときの気分に合わせてフレーバーを変えて楽しめるので、オフィスにあるとうれしい自販機といえるだろう。

 ただ、実際には、「まずは飲食店、映画館をターゲットに、年内で10〜30店以上への導入を目指す」と、渡辺氏。同社の調査では、ファストフード店を利用する人の約30%が実はドリンクの注文をしておらず、この解決策としての期待が大きいからだ。

 客の主な不満点は、(1)ドリンクの種類が少ない、(2)価格が高い、(3)作る人によって氷の量がバラバラで、味が一定ではないというもの。これに対してコカ・コーラ フリースタイルは、ドリンクの種類が通常のディスペンサーより圧倒的に多く、価格もエアポート・ダイナーでは250円で飲み放題。さらに、客がドリンクをカップに注ぐ形式なので、自分好みのドリンクを作れる。先行してテスト導入が進む米国では、「飲食店のドリンクの注文数が飛躍的に上がっている」(渡辺氏)という。加えて、ドリンクごとの飲用時間、飲用量、提供数などのデータが細かくわかる仕組みがあるため、売れ筋を見極めやすい。従来のディスペンサーに比べて新製品への切り替えもしやすいなど、飲食店にとってのメリットは明確だ。

爽健美茶×ピーチ」の組み合わせもあり?

 一方、日本コカ・コーラにとっては、自社飲料の販売量が増えるほか、テストマーケティングの場としても期待できる。特に日本市場は「消費者の目が厳しく、新製品投入へのハードルが非常に高い」(渡辺氏)と言われるため、重宝しそうだ。例えば、もともと果実系フレーバーを展開しているファンタは、現在市販されているオレンジ、グレープ以外に、コカ・コーラ フリースタイルでピーチやチェリー、ラズベリーといったフレーバーが高い人気を集めれば、それが製品化されるかもしれない。マーケッター気分で、「売れる」「売れない」の判断をしながら、100種類以上の味見をするのも楽しいだろう。

 今後は、現在の基本ブランド14種類以外に「爽健美茶」や「ジョージア」「紅茶花伝」といった同社の定番ブランドが加わる可能性もある。また、組み合わせるフレーバーも、「必要であれば、メロンやグレープフルーツなどと自在に広げられる」(渡辺氏)という。例えば、フレーバーの追加というだけではなく、「タウリン」や「コラーゲン」「アミノ酸」といった機能性素材を組み合わせられるようにしたり、「?」マークのドリンクを作ってフレーバーを客に想像させたり、面白い仕掛けはいくつも考えられる。次世代ディスペンサーを使ったマーケティングにも注目しておきたい。

(文/勝俣 哲生=日経トレンディ

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