“焼き牛丼”が大手チェーンを脅かす!? 「東京チカラめし」が急拡大中

nikkei TRENDYnet 9月6日(火)11時16分配信

 2011年6月に1号店をオープンしたばかりのファストフード店東京チカラめし」。すでに池袋、新宿、人形町御徒町、川崎など都心を中心に8店舗(2011年8月末時点)を展開し、昼どきには長い行列ができるほどの人気となっている。

 同店が話題となっているのは「焼き牛丼」の独自性に加え、320円(2011年8月末時点ではオープン価格で280円)と大手牛丼チェーン並みに安いこと。さらに運営しているのが270円居酒屋の「金の蔵Jr.」などを展開する三光マーケティングフーズということで、「低価格牛丼戦争に居酒屋業界から参入」という点でも注目されている。

 ただ同社はセルフ式讃岐うどん「楽釜製麺所」やスパゲッティ専門店「東京スパゲッチ」などをすでに展開しており、「当社は居酒屋のイメージが強いかもしれないが、食事性の高い業態も数多く出店している。今回のその延長線上」(三光マーケティングフーズの平林隆広専務)。実は同社は東京・神田のガード下で始めた牛丼店がスタートなのだという。

 価格を300円前後にしたのは、「牛丼チェーンに限らず、中華系の業態なども含めて『安くて、ボリュームがあって、うまい』イメージのあるファストフード店を見て、300円前後なら支持されるだろうと考えた」(同)。はたして、その「焼き牛丼」とはどんなものなのか?

ご飯の上に肉がびっしり、「ガリ」「辛味だれ」で多様な味に

 「焼き牛丼」を注文して出てきたのは、白いご飯一面に肉が並べられたどんぶり。よく見るとあめ色に煮たタマネギも乗っていて、具材としては大手チェーンの牛丼と変わらない。ただ肉を炭火で焼いたような香ばしい匂いが伝わってくる。

 肉は薄切りだが脂がしっかりと乗っていて、タレは甘辛。脂の甘みも合わさって、甘みが強い印象だ。大手牛丼チェーンの並盛りよりボリュームがある印象で、男性でも並盛りで十分満足できるだろう。

 驚いたのが、カウンターに置いてあるボックスを開けると紅ショウガではなく「ガリ」が入っていたこと。見た瞬間は違和感を覚えたが、実際には甘酸っぱさが肉の甘辛さとうまくマッチし、サッパリと食べられた。

 さらに向かいの客を見ると、カウンターにある「辛味だれ」を大量にかけていた。こちらはコチュジャン(韓国の唐辛子味噌)風で、少しかけてみると一転して韓国風焼き肉の味に! 1杯で複数の味が楽しめるわけだ。

 「肉の味付けを含めて『毎日食べても飽きない』というのが大きなテーマ。リピーターの方も多い」(三光マーケティングフーズの平林専務)という。

提供時間のスピードアップがカギ

 この焼き牛丼を開発したのは、「肉は焼いたほうがうまい、というのが一番の理由。日本でも欧米でも肉は焼いて食べるのが一般的だが、なぜか牛丼は肉を煮るのが当たり前になっている。だったら焼いた牛肉を載せた牛丼があってもいいのでは、と考えた」(三光マーケティングフーズの平林専務)という。

 外食業界で新しさを前面に出したメニューが日々生み出されるなか、焼き牛丼が注目を集めるのは「肉は焼くとうまい」というわかりやすさが大きいだろう。まさに“ありそうでなかった商品”で、逆になぜこれまでなかったのか不思議に思えてくるほどだ。

 「煮る牛丼は数秒で出せるが、焼き牛丼は注文を受けてから焼けるまで3分はかかるし、全員が肉を焼けるように教育しないといけない」(同)。既存の牛丼チェーンが客の回転率を高めて低価格を実現していると考えると、「焼く」という作業は非常に面倒で効率が悪いのだ。

 やはり最も苦労したところは「注文を受けてから焼く前提で、どうやったら早く提供できるか」だったという。オープン当初は提供に10分程度かかって「遅すぎる」とクレームを受けることもあったが、現在は注文を受けてから3〜5分程度で提供している。ただ注文してすぐ出てくる大手牛丼チェーンと比べるとその差は歴然で、今後も提供時間のスピードアップを図っていくという。

 ちなみに「焼き牛丼」以外にも、「カレーライス」(350円)「焼肉定食」(480円)があり、から揚げやエビフライといった揚げ物をオプションで選ぶこともできる。「東京チカラめし」という店名の通り、かなり“ガッツリ系”のメニュー構成だ(定食メニューや揚げ物メニューがない店舗もある)。

 ビジネスパーソンの昼食需要が高い都心の駅前からスタートし、地元の商店街や、商業施設のフードコートなど、さまざまな場所にさまざま規模の店を出店してテストしている状況。現在の「焼き牛丼」人気をみると大手牛丼チェーンの追随もありそうだが、「店員の作業から店の作り方まで、既存の牛丼店とは全くの別物」(同)。仮に商品化したとしても、既存の牛丼と同程度の価格で提供するのは難しいだろう。

 1人で店に入りにくい女性客や職場からあまり離れられない客にも対応するため、テイクアウトを8店舗のうち4店舗で実施中(2011年8月末現在、池袋西口人形町綱島、大宮東口)。今後オープンする店では最初から実施できるように準備していきたいという。

(文/山下 奉仁=日経トレンディネット)

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