人口減の日本、飲食店が生き残る道

こんにちは。「日経レストラン」編集部、安倍俊廣です。

私が贔屓にしている地元飲食店にCさんという人がいます。接客態度はとても爽やか。あふれんばかりの笑顔で迎えてくれ、オススメ商品の説明も一生懸命です。オーダーを1つでも多く取ろう。頑張っている姿にほだされ余計な注文をしたことも少なくありません。

その彼が近々、店を辞めると言い出しました。理由は「国にもっといい働き口があるから戻ってこい。そう親に言われた」から。彼は、中国出身の外国人スタッフなのです。

飲食業界で働く外国人が珍しいものではなくなって、何年も経ちます。日本でお金を貯め、将来は地元で日式の店を開く。Cさん同様、そんな夢を描いている若者も少なくないでしょう。しかし、苦労の末に渡ったあこがれの地は、住んでみれば、極めて「居心地が悪い国」と映ることが多い。

働く意欲があっても在留資格が「留学」だと週に28時間以上の労働は認められません。日本人スタッフからいじめられ、お客にはからかわれ…といったことも日本人が想像する以上に多いと言います。

たまさか働いた店が悪かった? そうかも知れません。でも、ここは外国人をなべて犯罪者呼ばわりする政治家がいる国ですからね。

先週、ニュースが流れたように「日本人」の人口は減少し始めています。「ピークは2006年」との推定は既に出ていた。5年に一度の国勢調査で、それが裏付けられたのです。

人口減社会の到来は、マーケット縮小と人手が確保しにくくなることを意味します。今のところ飲食業は、流通業などより相対的には賃金水準が高め。人手確保の難しさを実感する機会は多くはないでしょう。それでも「デフレ」「景気低迷」が続けば先は分かりません。飲食店を単なるバイト先と考える日本人にとっては、業界で「働く動機」が持ちにくくなるでしょう。

「いざとなれば外国人を雇えば良い」。数年前まではそうも言えました。こちらの見通しも不透明です。そも移民を頑なに受け入れない。不況を脱する兆しも見えない。原発問題まで抱えている。こんな国に、これからも外国人たちは働きに来てくれるのか、ということです。

たまたまですが、一昨日まで滞在していたマレーシアからの帰国便で、50人を超える「移民」と乗り合わせました。彼らはラオスミャンマーバングラデシュなど出身の「元・難民」。移民(移住)先は当然ながら、日本ではありません。日本は単なる通過地点。大挙米国へ渡るところだったのです。

外国人に対する門戸開放。「人が命」の飲食業界にとっては「国が考えることだから」では済まない問題だろうと思います。一時的に沈静化していますが、日本の飲食店による海外進出は再び活発になるはず。教育や研修など、海外との人材交流は、その成功に欠かせない条件です。

そろり動き出している「多民族国家」への流れ。とめられない国内飲食のグローバル化。経営者としてこの問題とどう向き合うか。都市部と郊外、大手と個人店。些末な違いを超えて経営者一人ひとりに覚悟が求められる。そんな時代が来ていると感じます。

2011年11月4日|Posted by 日経レストラン編集
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