電車を利用する人は、どんなお店を求めているの?

Business Media 誠 12月20日(火)11時24分配信

駅ナカマーケットは非常にポテンシャルが高いことを、前回の記事「売上7倍! 駅ナカマーケットが、ものすごく有望なワケ」ではご紹介した。今回はその駅ナカマーケットの特徴について考えていこう。

 駅ナカ(駅構内)マーケットのターゲットを考えると、当たり前だがお客さんは「鉄道利用者」となる。現状では残念なことに、「駅ナカの○○店に行きたいから入場券を買っていこう」という人は少なく、鉄道利用者が立ち寄ることが前提になっている。

 鉄道利用者についてさらに考えると、「どこかに移動する目的がある人(=通過客)」とも言える。電車は時間通りに出発してしまうため、駅ナカで気になる店を発見したとしても、長時間店内に滞在することは難しくなる。つまり、店内でゆっくりと時間をつぶせるような業態は、駅ナカにはあまりふさわしくないのだ。

 私自身の経験からの分析だが、ここが「空港」立地と「駅」立地との違いになる。空港の場合、チェックイン作業があるため、お客さんは飛行機の出発時間より早く空港に来なくてはならない。そのため、空港内での待ち時間が発生し、時間をつぶせるような業態も成り立ちやすくなる。最近、国内線ではチケットレス化が進み、お客さんの空港滞在時間も短くなってきているが、国際線では特に顕著な傾向だろう。

 お客さんの駅滞在時間の長短により、消費行動がどのくらい変化するのか。駅でも「新幹線」「特急列車」「通勤電車」が停車する駅・ホームごとに違いが出ている。お客さんがお店で使うお金(客単価)を確認すると、新幹線>特急列車>通勤電車の順で高くなっているのだ。品揃えを変化させていることも要因の1つだが、やはりお客さんの店内滞在時間の違いが大きいと検証されている。

●商品の売り方にも駅ナカならではの特徴が

 「駅ナカのお客さんは通過客であり、店内滞在時間は短く、客単価が低い傾向にある」――この消費者行動に見事にマッチしている究極の駅ナカ業態が「立ち食いそば屋」である。実際に坪当たり生産性は非常に高い数値を出しており、飲食店ではファストフード店も高い支持を集めている。

 駅ナカの消費者行動に合わせた工夫としては、例えば本屋が挙げられる。JR東日本リテールネットが運営する「ブックエキスプレス」では、本屋業界としてはちょっと変わった売り方をしている。

 通常の本屋の売り方は“ロングテール”で、広い店内にたくさんの商品を陳列するため、アイテム数の多さが成功の要因となっている。しかし、ブックエキスプレスでは「商品回転率」を重視、旬の商品を短期間で販売する手法をとっているのだ。

 先日発売された人気漫画『ONE PIECE 64』の販売でも、圧倒的な物量で売り場を作り上げ、短期間で売り切る手法を採用。お客さんは短時間での買い物を望んでいるので、陳列では「背表紙陳列」ではなく「表紙陳列」「多フェイス陳列」を徹底し、お客さんが欲しい商品をすぐに見つけられるように工夫している。

グラフ「駅ナカに求めるお店」:(http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1112/20/news007.html

 次のグラフは、鉄道利用者が駅ナカに欲しいと思っている業態を私が調査した結果である。46%と半数近くの人がコンビニを求めており、本屋が22%、カフェが15%で続いており、この傾向は全国一律だった。利用客のニーズに合わせるべきか、まだ利用客が気が付いていない潜在的なニーズを喚起して新たなマーケットを創造するか。これは現在でも悩み続けている課題である。

 もちろんターゲットは鉄道利用客なので、「通過客であること」「買い物時間が短いこと」をベースにマーケティング戦略を練り上げないと失敗するのだが、こうしたことを考えながら次の一手を検討しているところだ。

[笠井清志,Business Media 誠]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111220-00000025-zdn_mkt-ind

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