歓迎!イスラム教徒御行様 戒律ビジネス活況

(2013年3月7日 読売新聞)

 世界人口の4分の1を占めると言われるイスラム教徒向け「ハラールビジネス」の注目度が高まっている。富裕層が増えているマレーシアやインドネシアなど東南アジアからの観光客が主なターゲットで、厳しい戒律に配慮した料理を提供する飲食店やホテル、礼拝所を設置する商業施設が登場。観光庁は本格的な観光誘致に乗り出し、イスラム圏進出を狙う企業の動きも活発だ。
■ツアー客急増

 観光客でにぎわう京都・清水寺。マレーシア人のハリナ・ハッサンさん(43)家族は、東京、大阪、京都などを巡る7泊8日の旅行で訪れた。

 ガイドを務めるのは、イスラム教徒向けのツアーを企画する「ミヤコ国際ツーリスト」(大阪市)の黒沢一成さん(47)。戒律で豚肉やアルコール類を使った料理は禁じられる。礼拝は原則1日5回、旅行中でも3回行う。専用の食事を提供するレストランに加え、礼拝場所も用意した。

 ハリナさんは「日本は安全で親切な人が多いと聞いて、いつか来たいと思っていた。次は桜の季節に訪れたい」と満足げだ。

 同社がイスラム教徒向けのツアーを始めたのは2年前。1年目の利用者は50人程度だったが、昨年は約500人に。今年もすでに500人以上の予約が入っている。黒沢さんは「東南アジアでは急速な経済成長で富裕層が増えている。環境が整えば、観光客はもっと増えるはず」と話す。
■国も本腰

 観光庁は今年から、ハラール料理を提供するレストランや礼拝場所などのガイドブックを作成し、現地旅行会社などに配布する予定だ。国内旅行業者や自治体向けの受け入れ対応セミナーも開き、年間100万人の誘致を目指す。担当者は「中国、韓国に並ぶ新たな市場として、大きな可能性がある」と力を込める。

 環境整備を進める施設も増える。大阪キャッスルホテル(大阪市)はイスラム教徒の団体客向けに、レストランで特別メニューを開始。商業施設「千歳アウトレットモール・レラ」(北海道千歳市)は昨年9月、男女別の礼拝室を設置した。

 外食大手「グルメ杵屋」(大阪市)は、大阪市中央区の店で提供する料理についてマレーシア政府認証機関が発行する「ハラール認証」を申請中だ。調理現場の視察や食材などの成分分析、面接などのチェックを受けるという。担当者は「イスラム教圏への出店の足がかりに」と意気込む。

 取り組みは大学にも広がる。同志社大は昨年11月、キャンパス内に留学生向け礼拝スペースを設置。留学生がツイッターで紹介し、「イスラム教徒に配慮した大学」としてトルコの新聞などで取り上げられた。
ハラール 「(神によって)許された」という意味で、イスラム法上、合法なものを示す。食事は▽豚肉やアルコール類を含まない▽それらに触れた調理器具を使わない――など原材料、加工過程まで細かい規定がある。医療品や化粧品にも適用され、清浄で安全であることなども求められる。非合法のものは「ハラーム」と呼ぶ。

東南アジアから年間77万人


CMマレーシアとインドネシアの訪日客数0307仮夕社
 米世論調査会社ピューリサーチセンターの昨年の調査では、イスラム教徒の人口は約16億人で世界人口の23・2%を占める。

 一方、日本政府観光局によると、東南アジア(タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシアベトナムシンガポール)からの訪日客は、2003年には約44万人だったが、12年は約77万人に増加。特に昨年は、イスラム教徒の多いマレーシアが約13万人、インドネシアが約10万人と過去最多の訪日客数を記録した。

(2013年3月7日 読売新聞)

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20130307-OYO1T00805.htm?from=main3

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