カマガリ、チカ…マイナー魚 食べてみて

(2013年3月5日 読売新聞)

回転ずし、スーパー、宅配にも登場

各地のマイナーな魚が回転ずしにも登場した(大阪府豊中市で)
 漁獲量が少なかったり、見かけが悪かったりして、全国的には流通していない「マイナー魚」を有効活用する動きが広がっている。

 よく知られた魚に引けをとらないおいしさで、魚の産地だけでなく、都市部でも扱う外食店やスーパーがあらわれている。

 大阪府豊中市の回転ずし店「ぶっちぎり寿司ずし!!!」では1月下旬、カマガリミノカサゴなどの珍しい魚のすしが販売され、店員が「ためしにどうですか」などと客に話しかけていた。

 首都圏に店舗を展開する鮮魚スーパー「角上かくじょう魚類」でも、めったに見られない魚が並ぶことがある。身がゼリー状の深海魚ジョンジョロ(ノロゲンゲ)、目の大きいニギスなど。対面販売なので、「ジョンジョロはみそ汁にするとおいしい」などと店員が教えてくれる。

 こうしたマイナー魚を宅配する会社も出てきた。

 食材宅配の「大地を守る会」(千葉市)は、全国のマイナー魚を2010年に商品化した。「大地を守る会のもったいナイ魚」と名付け、これまで47種類を販売している。

 例えば、北海道でとれるチカは、「ワカサギに食感が似ている」と好評だ。ほかにも、クロダイに味が近いヘダイの一夜干しなども売る。


チカの一夜干し(大地を守る会提供)
 同封のチラシなどでレシピを紹介し、おいしく食べる工夫をしている。「もったいナイ魚」の売り上げは、10年度1670万円、11年度3308万円と増加。同会広報担当の栗本遼さんは「水産業者の収入安定につながる。『生産者を応援したい』と購入する人も多い」と話す。

 京都生活協同組合京都市)は、京都府内の漁港であがった地魚の詰め合わせ「かもめ鮮魚ボックス」を宅配で販売している。中にはニギス丸干しやメダイ、ミズガレイなどのマイナー魚もまじる。「鮮魚ボックスを始めた1983年頃、漁獲の多くはマイワシだったが、イワシ類の漁獲が減り、今では様々な魚が入る」と生協の担当者。1月には京都府漁連(京都府舞鶴市)と協定を締結し、販売に力を入れる。

 魚体のサイズが不ぞろい、漁獲量が少ないなどの理由で、食用として流通していなかったり、価格が低かったりする魚を水産業界では「未利用魚」という。すり身などとして利用されることもあるが、底引き網船の場合、網にかかった魚の2〜4割が海上で捨てられているとされる。

 不必要な魚までとってしまう漁法は本来避けるべきだとの意見もあるが、農産物と違って、必要な魚だけを選んでとるのは難しい。水産庁は2009年度の水産白書で未利用魚の活用を呼びかけている。

 政策研究大学院大客員教授の小松正之さん(海洋政策)は「マグロやイワシなど、よく知られた魚の資源が減る中で、未利用魚の活用が注目された面がある。未利用魚も取りすぎないようにしながら食べ、資源を考えるきっかけにしてほしい」と話す。(岡安大地)

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