大手進出で塾の競争激化、子ども手当期待も

福岡市で、大手学習塾の進出をきっかけに塾の競争が激化している。少子化や不況も重なり、受講料の値下げや社会人コース設置など、生き残りをかけた戦略に知恵を絞る。業界は、民主党の目玉政策・子ども手当の支給を「ビジネスチャンス」とみており、さらに生徒獲得合戦が過熱しそうだ。

 福岡に進出したのは、秀英予備校静岡市)。東海地方を中心に関東や北海道に塾を展開し、昨年12月に福岡本部を構えた。当初は福岡市内など7教室で450人だった受講生が、今月は14教室で1500人まで増えている。

 同校は、開校に合わせ、冬期講習(12月20日〜1月7日)などで、通常は1万2000円の受講料を無料にした。こうした戦略が当たり、当初見込みを約3割上回る受講生を獲得。同本部の加藤和也部長は「授業を体験してもらい、ここなら大丈夫と保護者が安心したことが、入学につながった」と自信を見せる。「福岡は教育熱が高く、まだまだ成長が可能な地域」と、今後2〜3年で20教室まで増やす計画だ。

 これに対し、福岡を拠点としていた既存の学習塾はこの夏、相次いで夏期講習の大幅値下げに踏み切った。

 九州・山口に55教室を展開する全教研(福岡市)は、福岡都市圏の15教室の一部クラスで、約20日間の講習で3万8000〜4万円の受講料を半額にした。北部九州に38教室ある英進館(同市)も最大で7割程度の値下げを実施。両塾とも“秀英対策”は否定するが、全教研の中垣量文常務は「(秀英に対抗して)ほかの塾が値下げし、うちも追随せざるを得なかった。値下げしたクラスでは受講生は増えたが、収入は当然減った」と明かす。

 値下げ合戦の中、不況や少子化にも対応を迫られる。全教研は「景気動向を考慮し、来年度はさらにリーズナブルなコースを検討中」(中垣常務)という。全教研グループは今月19日、外部講師を招き「マーケティング」や「プランニング」を指導する社会人対象のクラスを開講する。同グループは「少子化で、将来の塾市場は小さくなる。教育サービス業として幅を広げていかなければ」と生き残り戦略を語る。

 そんな中、民主党が来年度から支給する方針の「子ども手当」に期待する学習塾も多い。鹿児島県や福岡県など九州4県で75教室を展開する昴(すばる)(鹿児島市)の毛利寿男・教務部長は「(支給されれば)ある程度は教育費にあてられるはず。塾業界にとってはチャンス」とし、小学生を個別指導する「キッズくらぶ」の受講生拡大を図る考えだ。秀英予備校福岡本部も子ども手当を「市場を大きくする好機」と受け止め、支給を見越した戦略を検討中という。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/20090512-691870/news/20091014-OYS1T00697.htm
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