ドンキ、会員制店舗を展開 “激安流”百貨店に勝算あり

産経新聞 9月29日(水)9時38分配信
 20年連続増収増益を続けるディスカウント大手のドン・キホーテが新業態「会員制卸売り型小売店」に乗り出し、その1号店となる「WR(ダブルアール)岸和田店」(大阪府岸和田市)が10月1日に正式オープンする。ファミリー層の取り込みを狙い、2013年6月期までに売上高100億円を目指す。WRで狙うのは“ドンキ流百貨店”。デフレが収まらない中で、この試みが個人消費に“新風”を吹き込めるのか。

 ◆年20万円購入が条件

 「売り場は百貨店流。でも商品は安い。それが一番いいでしょう」。6月に設立され、7月にドンキグループ傘下に入った「ダブルアール」の川端俊彦社長はWR岸和田店の店舗方針について、こう説明した。

 同店は、岸和田市の複合商業施設「ラパーク岸和田」内にあったドンキグループの長崎屋を改装。長崎屋は食品部門だけを残し、残りの1万3500平方メートル余りをWRとして立ち上げる。

 アパレル製品を中心に、雑貨や住居関連用品、ブランド品などを販売する。ゆったりした店内のメーン通路は幅3メートルと広く、商品も「デパートに近い品ぞろえ」(WRの猪尾満業務本部長)という。「カオス」(混沌)をテーマとし、圧縮陳列で迷路を進むかのようなドン・キホーテの店内とは対照的だ。

 ただ、“ドンキ流百貨店”を掲げる中で「メーカー品、ブランド品など他店と価格が比較しやすいものを、圧倒的な価格差で提供する」ことが基本コンセプトだけに、商品は通常価格の3〜4割安程度。

 WRはドンキ傘下に収まったことで、人事や総務、財務といった間接部門をドンキグループに委ねることでコストを下げた。さらに低価格を実現するために導入したのが会員制だ。販売量の予測が付きやすく、在庫ロスを避けられるためだ。「顧客は一様ではなく、ディスカウントのドンキ、生鮮食料品も扱うMEGAドンキの次を考えたとき、会員制でゆったりと買い物ができる店舗を作りたかった」との理由もある。

 会員は入会金2100円で、年会費は無料。ただ、年間20万円以上の買い物をしない場合は会員資格を喪失する仕組み。同じフロアにある長崎屋の食料品売り場からは、すりガラスを通してWRの店内の様子をうかがうこともでき、ゆったりとした買い物ができる会員の優位性を見せることで、新規会員の獲得につなげる狙いもある。

 岸和田店では、これまでの長崎屋は50〜60代をターゲットにしたアパレルに強みを持っていたが、WRではファミリー層を念頭に、メーカー品やブランド品を低価格で販売するスタイルで集客を目指す。

 ◆コストコ流に対抗

 ただ、ドンキの挑戦には課題も山積する。その一つは、会員制の卸売り型小売店が日本にさほど根付いていないことだ。

 国内で唯一の例といえるのが、米国発の会員制卸売り型小売り店「コストコ」だ。コストコは徹底的なアイテム、商品の絞り込みで知られ、食料品や消耗品などを現金払いの持ち帰り型によるまとめ買いで低価格につなげて人気を博している。

 これに対しWRは、コストコの30〜40倍ともみられる12万の商品をそろえているが、衣料品や服飾品が中心のため、コストコのようなまとめ買いも期待できない。

 その狙いについて、WRは既存の卸売り型小売業が「商品の形やボリューム、それに倉庫型の無機質な売り場が受け入れられていない」との見方を示し、それが百貨店スタイルの売り場につながった。12万アイテムという豊富な品ぞろえとしたのも、コストコの逆をいく対抗意識といえそうだ。

 ドンキ、MEGAドンキで「激安」「驚安」とうたう低価格路線はWRでも健在だが、衣料品中心で販売量を確保するには、会員数を大量に獲得する必要がある。ドンキは「勝算は十分にある」と自信をみせるものの、WRの次の展開は岸和田店の結果を見ながら考えるとしている。

 消費不況で既存の百貨店やスーパーの売り上げがなかなか水面上に浮かび上がれない中で、「百貨店流」に挑むドンキの試みが新たな消費形態を生み出せるのか。(兼松康)
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