集客から囲い込みへ、ECサイトの戦略に変化

ITmedia エンタープライズ 9月29日(水)11時27分配信
現在、ECサイトで重視されている売り上げ拡大のための施策は、単にサイトへの集客のみにとどまらない。サイト内の施策に注力することでサイト集客の効率化が図られる傾向にある。

 サイト集客の効率化は、「効率的な集客方法の採用」と「コストをかけて集客したユーザーの効率的な活用」の2つに分類される。前者は、インターネット広告などの集客方法ごとの効果測定を実施することで、効果的な集客方法を見つけ出し効率化を図る取り組みだ。一方、後者は、商品のレコメンドなどサイト内での施策に注力することで、CVR(コンバージョンレート)を向上させサイト集客にかかったコストを最大限に生かす取り組みである。

 アクセス解析ツールの出現により、サイト集客の効率化は以前から多くの企業で実施されていたが、今回の調査では、サイト内での施策に注力し、最終的なコンバージョンまでも視野に入れた総合的なサイト集客の効率化が多くのECサイトで図られる傾向にあることが分かった。

●サイトへ集客するだけの時代ではない

 下の図は、ECサイトの運営企業を対象に、サイトの売り上げ拡大のために最も重視している施策について、電話アンケート調査を実施、集計したものだ(図1、図2参照)。
 →http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1009/29/news006.html

 設問では、売り上げ拡大のための施策を「サイトへの集客」「サイト内での施策」「既存顧客に対する施策」の3つに分類し、3年前と比較して現在はどれを重視しているかをヒアリングした。

 現在最も重視されている施策は、「サイトへの集客」で、回答企業の37.0%を占めた。これに「サイト内での施策」(33.0%)、「既存顧客に対する施策」(29.9%)が続いた。一方、3年前は、サイトへの集客が最も多く70.2%、これに既存顧客に対する施策(17.0%)、サイト内での施策(12.8%)が続いた。

 この結果から、ここ3年で多くのECサイト運営企業では、「とにかくサイトへユーザーを集客する戦略」から「訪問したユーザーにとにかく買ってもらう戦略」に戦略がシフトしていることがうかがわれる。

 なぜシフトチェンジがなされたのか。その理由として、インターネット広告の費用対効果の低下がある。近年、競合サイトが増加したことを背景に、リスティング広告をはじめ需要の高いインターネット広告の広告単価が上昇しているという。

●効果検証の要素が広がる

 この流れは、効果検証の内容にも現れる。効果検証は大きく「集客に関する効果検証」と「サイト内に関する効果検証」の2つに分類される。

 前者は、配信したメールマガジンSEO検索エンジン最適化)、インターネット広告、クロスメディアプロモーションなど、後者は、サイト制作、レコメンド機能、LPO(ランディングページ最適化)、EFO(エントリーフォーム最適化)、サイトコンテンツなどが挙げられる。

 これまでは集客に関する効果検証にウエイトが置かれてきたが、今後はそれに加えて、サイト内に関する効果検証の重要度も著しく大きくなっていくだろう(図3、4、表1参照)。
 →http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1009/29/news006_2.html

 今後、ECサイト運営企業がサイトへの集客からサイト内の施策に至るすべてのフェーズで効率化しようとした場合、個別のツールを別々に運用していたのでは効率が悪い。そこで、アクセス解析やLPOなどのネットマーケティング関連ツールに対するニーズが高まるだろう。ベンダ同士のアライアンスも進むはずだ。従って、すべてのネットマーケティング関連ツールができる限り連動している方が利便性は高いだろう。

●調査要綱

矢野経済研究所は、1.調査対象:対象企業)アクセス解析ツール・広告効果測定ツールベンダ 22社/以下の(1)〜(4)の条件に合致する人407名(1.勤務先でWebサイトを開設、2.勤務先がアクセス解析を実施、3.勤務先従業員数11名以上、4.アクセス解析の選定や管理に関与している者or決済に意見できる者or最終決済権者)、2.調査期間:2010年6月から2010年8月、3.調査方法:ベンダ調査 訪問面接取材/ユーザー調査 インターネットアンケート調査――によって国内テレマティクス市場を調査した。
最終更新:9月29日(水)11時27分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100929-00000020-zdn_ep-sci
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