【こんな時代のヒット力】全品270円の満足度で仕掛ける ★三光マーケティングフーズ金の蔵Jr.

2010.09.28
 高級居酒屋の「東方見聞録」「月の雫」を展開してきた三光マーケティングフーズ(東京都豊島区)は、2009年5月に全品300円の低価格均一居酒屋「金の蔵Jr.(ジュニア)」を出店、居酒屋業界に低価格バトルを仕掛けた。

 8月には全品270円で新規出店と既存店の業態転換を一気に行った。300円でも十分安いが、客平均の7品で支払いが2000円を超える。しかし270円ならおつりがくる。この差は大きく、現在、「全品270円」は90店舗に拡大し、客数比はおおむね150%と好調だ。

 居酒屋の市場規模は、不況、高齢化、若者の「アルコール離れ」などから、1992年の1兆5000億円から04年には1兆800億円と縮小傾向にある。その中で、同社の出店速度は驚異的だ。特に繁華街の出店を進め、新宿だけでも29店舗を展開している。その理由を、同社の平林実社長は「客のいる所に店を出す」と説明、「出店こそ宣伝」と、まだまだ出店する意欲を見せている。

 たしかに、新宿駅に近付くとJRの車窓から「全品270円」の看板が大きく見える。駅を出ると、どこを歩こうがやはり黄色の看板に出合う。行き来しているうちに入ってみようかということになり、そこで、安くて、うまくて、ボリュームがあれば、次回もとなる。

 特定エリアに店舗を集中展開する戦略を“ドミナント戦略”という。マーケットの濃い場所に集中することで、宣伝効果、人的集中の相乗効果を狙う。コンビニの出店などで採られた戦略だが、同社は「集中と成果」の戦略と位置付けた。

 この戦略の成否は、客の価値実現を支援する品ぞろえや売り方、店作りが鍵となる。これに同社は「値段と量とクオリティー」で応えようとしている。270円という値段でありながら、1皿に唐揚げ8個、枝豆も他チェーンの2倍近い量でインパクトを与えた。そのうえさらに、「唐揚げや焼き鳥を増量しよう」と検討中だという。

 高すぎるメニューは排除し、定番メニューを大事にして増量を行い、他社の追随を許さない構えだ。それを可能にするのは、仕入れの強化やタッチパネル導入などの徹底的なコストダウンと、より多く客席を確保する店舗レイアウトなど、同社独自のノウハウだ。今後もシステム化・ハイテク化を進め、無駄なコストを排して、食材に集中するという。

 「ライバルはサイゼリヤ。目指すは飲食業界のユニクロ」という平林社長。その先に見ているのは、「居酒店の産業化・工業化。そして、アジアマーケット」だという。 (村上信夫
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20100928/ecn1009281613003-n1.htm
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