紅茶飲料と冷凍食品事業の拡大を計画=ネスレ

ロイター 10月25日(月)14時52分配信

 [ニューヨーク 22日 ロイター] スイスの食品大手ネスレNESN.VX>は、目先の景況感が低迷したままとみられる米国市場で、ボトル入り紅茶飲料および冷凍食品の事業を拡大する計画だ。

 同社の北米飲料水部門であるネスレ・ウォーターズ・ノース・アメリカのキム・ジェフリー最高経営責任者(CEO)は22日、ニューヨークで開いた記者会見後のインタビューで、同社は既に多数の飲料水ブランドを販売しているため、紅茶事業に魅力を感じていることを明らかにした。

 ジェフリー氏は「当社の次の未開拓分野として、飲料水事業により確保してきた健全な水和空間にぴったりとはまって販売ができる他の清涼飲料を検討している」としたうえ、「紅茶空間が好ましい」と述べた。 

 同氏によると、ネスレは紅茶ブランド「スイート・リーフ」と「トレードウィンズ」の35%を保有しており、今後1年半から2年の間に完全買収する計画だ。

 ネスレの全体の売上高(約1000億ドル)のうち、北米飲料水事業の売上高は40億ドル程度を占める。ジェフリー氏は今年の売上高目標には言及しなかったが、シェア(市場占有率)の拡大を予想した。

 同社が北米で販売している飲料水ブランドは「サン・ペレグリノ」、「ペリエ」から「ポーランド・スプリング」、「ディア・パーク」と多岐に渡る。 

 ネスレが22日発表した今年1─9月期の売上高は、食品・飲料部門の買収などの影響を除いた伸び(オーガニックグロース=有機的成長)が前年同期比5.7%と市場予想を上回った。新興国市場の強い需要に加え、値上げや好調なコーヒー事業「ネスプレッソ」が寄与した。同社はコモディティー価格の上昇や景気情勢が懸念されるにもかかわらず、2010年の売上高と利益の通年見通しを据え置いた。 

 <冷凍食品事業の拡大に意欲> 

 ネスレの米国法人(ネスレUSA)のブラッド・アルフォードCEOは別のインタビューで、冷凍食品分野に大きな事業機会があるとみており、同社が有機的にも、また企業買収を通じても拡大する公算が大きいとの見通しを示した。

 アルフォードCEOは「わたしは冷凍食品に極めて強気だ。冷凍食品には、さらに多くの事業機会があると思う。われわれは『アンド(&)』の世界に住んでいる。このため有機的成長と企業買収の双方を検討するだろう」と話した。 

 またネスレのポール・ブルケCEOは、手元資金の使い道のうち、研究開発(R&D)や工場施設への投資、マーケティング、配当の支払いと並んで企業買収の優先度が高いと説明した。

 食品セクターでは企業買収活動が活発化しており、ブルケ氏は、ネスレが企業買収に触手を伸ばしていることを明らかにした。同氏はロイターに「これは当社が常にやっていることだ。過去よりも強くか。いや、常に非常に強いのだ」と話した。

 ネスレは今年に入り、クラフトスーズ<KFT.N>からディジョルノやトゥームストーンなどの冷凍ピザブランドを買収。前月にはペットフード事業のWaggin' Trainの買収で合意している。 

 ネスレはフランスの化粧品大手ロレアル<OREP.PA>の株式を30%保有しているが、出資比率を今後どうするかをめぐり思惑がうず巻いている。ロレアル創業者の娘であるリリアン・ベタンクール夫人はロレアル株の31%を保有しており、仮に創業一族が売却を決定した場合、ネスレは入札に参加する権利を持つ。一方でネスレはロレアル株を売却する可能性もある。

 ブルケCEOは22日、ロレアルなど特定の企業について、コメントしなかった。 

 一方、アルフォード氏は、米国では失業率が高止まりしており、企業の事業環境は短期的に難しい局面が続くと予想。それでも同氏は、素材価格が最近上昇した特定の製品について、販売価格をある程度引き上げることができると見込んでいる。

 ネスレが素材として最も多く使っているのはココア、砂糖、乳製品だ。アルフォード氏は、素材価格の上昇を相殺するため、同社が値上げと同時に、販売促進活動の簡素化やコスト削減も実施できると指摘した。

 ネスレは、同社全体でみると今年の投入コストが2─3%増加すると予想している。
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