富士経済、流通パン・ベーカリーショップ・外食チェーンなどパン市場の動向調査結果を発表

量販店、コンビニ、ベーカリーショップなどの

パン市場を調査
 2010年の市場
  小売パン市場    1兆7,969億円(前年比1.3%減)
  流通パン市場    1兆4,045億円(前年比0.1%増)
  ベーカリーパン市場   3,924億円(前年比6.1%減)

 総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界)は、原料小麦価格の変動による値上げ・値下げ、不況の影響を受けている流通パン、ベーカリーショップ、外食チェーンなどのパン市場の動向を調査分析した。その結果を報告書「パン市場のチャネル別需要分析調査 2010」にまとめた。

 この調査では、小売業態別の市場規模推移、商品・メニュー分析、チャネル別企業シェアや主要企業の動向について分析した。また、小売チャネルを取り巻くパン市場としてコーヒーショップなど外食業態の動向なども捉え、パン市場を多角的に分析した。


<調査結果の概要>

 〔小売パン市場(小売販売ベース) チャネル/2009年/2010年見込/前年比〕
  ※添付の関連資料を参照

 2008年の流通パン市場は、量販店チャネルでは、原料小麦の価格高騰を受けパンメーカーが価格改定を実施したため金額ベースで増加し、CVSチャネルでは同年3月から順次導入されたタスポ導入によるタバコ購入目的の来店客数増加の恩恵を受け増加した。2009年の流通パン市場は量販店が店舗数の減少と、既存店の売上不振から前年を下回ったことに加えて、CVSが前年のタスポ効果の反動によって既存店の販売額が大幅に減少したことから前年割れとなった。2010年は量販店、CVSともに前半は好調だったものの、猛暑の影響で夏場の需要が減少した。しかし、CVSでは新規出店による実績拡大とタスポ効果の反動が一巡したことで前年を上回るとみられ、トータルでは前年並が見込まれる。
 ベーカリーパン市場では、チェーンベーカリーが2009年は景気後退による節約志向の強まり、新型インフルエンザ流行の影響による買い控えなどにより縮小した。2010年は猛暑による消費意欲の減退などより単価の高いベーカリーショップほど影響を受け大きく減少するとみられる。量販店では"焼きたて"という付加価値を持つインストアベーカリーを消費者の選択肢を増やす上で重要な業態と考えている。量販店のインストアベーカリーでは、低価格流通パンへのシフトを食い止めるため100円均一フェアなどにより顧客を取り込んでおり、特にあんぱん、メロンパンなどの菓子パンと、カレーパン等の定番商品は安定している、ただし、食パンは流通パンへ需要が流れ苦戦している。節約志向の中でより安い流通パンへとシフトしていると考えられる。個店ベーカリーもチェーンベーカリー同様厳しい状況に変わりはないが、手頃な価格・魅力ある商品など個々の対応により、店舗間に差が出てきている。CVSインストアベーカリーは、本格的焼きたてパンで女性客をとりこむココストアと男性客に向けて食べごたえとシズル感を訴求するデイリーヤマザキが中心である。ターゲットを明確にすることで、売り上げ増に結びつけている。
 少子高齢化により消費者の絶対数が減少している中で市場規模を拡大させるには新規需要の獲得が鍵となる。若い女性層やシニア層への適確なアプローチが市場活性化の鍵であり、チャネルによって需要層は異なるものの、量販店はファミリー層以外に単身者や高齢者、CVSは女性客やシニア層、ベーカリーショップは男性、外食需要といった現在のターゲット以外の層の取り込みが必要である。

 ・量販店パン(流通パン)市場
  2009年 6,987億円  2010年見込 6,942億円(前年比99.4%)
  量販店におけるパンは、日配食品の中で販売ボリュームの大きい商品であり、流通各社が注力するカテゴリーである。パンは特売や値下げ対策により、消費者の目を引きやすい事もあり、チェーンによっては生肉や鮮魚売場であっても通路にパン特売コーナーを設け、「100円均一」、「1割引」等のポップと共に大量販売をしているケースがみられる。
  また、催事展開しやすいカテゴリーでもあり、菓子パンは季節に合わせてチョコレートやイチゴ等、フェアの目玉商品にもなるため、島陳列やスープなどとクロスマーチャンダイジングすることで消費者への露出を高めている。食パンやテーブルパンはシールを集めて応募すれば無料で景品がもらえるキャンペーンを積極的に展開しており、ワンシーズンで100万通を超える応募があるケースもあり、メーカーにとっては重要な販促施策となっている。流通も食パンをピラミッド型に陳列するなど売上増加に向け工夫をこらした販売を行っている。
  流通側では、メインの取り扱いは大手パンメーカーの商品であるが、高価格帯商品のシリーズ陳列や、地場メーカー、個人パン店の商品を取り扱うことで、消費者を飽きさせない工夫もしている。特に地場メーカー、個人パン店の商品で大手企業には無い手作り感を持った商品は人気であり、袋詰めセールを行うと、通常の2倍以上の売上を上げるケースもあり、話題性と言う面でも集客アップに繋がっている。"いつ来店しても同じ商品"ではなく、新鮮さを持った売場は消費者を呼び込みやすいと考えられる。

 ・CVSパン(流通パン)市場
  2009年 7,046億円  2010年見込 7,103億円(前年比100.8%)
  2009年は約300店の新規出店があったものの、前年のタスポ効果の反動で既存店売上が大きく減少し、トータル販売金額は前年を下回ったが、食パン、ロールパン、蒸しぱん、フィリングタイプ(甘味系のつめものを含有)パン、ベーカリースイーツは前年を上回った。
  食パン、ロールパンは買い忘れ需要や翌日の朝食用に購入するケースが多く、タバコのついで買いがほとんどなかったことから新規出店分がプラスされた形になっている。また、セブンイレブンのPB「セブンプレミアムおいしい食パン」、「同おいしいロールパン」は量販店と同等または下回る価格で、量販店の需要を取り込んだ。蒸しパンは安価であることに加えて、女性客と老人客が主要購買層でタスポ効果の反動は軽微だったことから増加し、フィリングタイプは各チェーンが特に注力しており、クリームたっぷり、もちもちなどのボリューム感と食感が支持され増加した。同じく、ベーカリースイーツは食べごたえのある菓子パンで小腹を満たしたい消費者や、値ごろ感から男性客の購入頻度が高くなり増加した。2010年はタスポ効果の反動が一巡し、その他テーブルパンを除く全てのカテゴリーで前年を上回るとみられる。その他テーブルパンはライ麦パン、フランスパンなどであるが、ヒット商品が少なく高単価なことから前年をわずかに下回る見込である。
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=266968&lindID=4
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