【けむりの行方 値上げ…その後】(下)強まる規制 飲食店コスト増

産経新聞 12月16日(木)7時57分配信
 「申し訳ありません。喫煙席が満席で、席が空くまでお待ちいただくことになります」。居酒屋やレストランにとって、12月の忘年会シーズンは1年間で最大のかき入れ時だが、横浜市内の居酒屋チェーンの店長は、空席があるのに来店客を断るケースが増え、頭を痛めている。

 たばこを吸わない人が、他人のたばこの煙を吸う受動喫煙。健康への影響が指摘され、神奈川県は4月、公共性の高い施設での喫煙を規制する受動喫煙防止条例を、全国に先駆けて施行した。飲食店は店舗面積のおおむね2分の1以上を禁煙エリアにしなくてはならないが、この店は内装や間取りの都合で禁煙席が7割近くを占めてしまった。

 「忘年会シーズンは大半が団体客のため、喫煙席の需要の方が高い。喫煙席をすぐに用意できないと『禁煙席は余っているだろう』と苦情を言われ、禁煙席に案内するが、禁煙席だと短時間で帰られてしまう」と店長はため息をつく。

 民間調査会社の富士経済の調べでは、条例施行後の5、6月の飲食チェーンの売り上げは、前年同月比33%減少したという。県内の飲食店などからは条例に不満の声が消えないが、規制の動きは全国に広がりつつある。

 ▽高額の設置費用

 厚生労働省労働政策審議会の分科会は今月6日、受動喫煙対策として、事業者に「全面禁煙」か「分煙」を義務づけることを求める最終報告をまとめた。早ければ来年の通常国会にも、労働安全衛生法の改正案が提出される見通しだ。

 喫煙場所について、非喫煙場所から秒速0・2メートルの風を吹かせて煙が漏れないように義務づける新しい基準を検討し、10月のたばこ増税に次ぐ喫煙率低下の切り札に位置付ける。

 厚労省の調査では、喫煙場所の設置などの対策を講じていない飲食店やオフィスの割合は約53%と半数を超え、新しい基準が導入されれば、受動喫煙の悩みを一気に解消できる可能性がある。ただ、対策には、高額な負担を強いられる。

 コーヒーチェーン「ドトール」などを展開するドトール・日レスホールディングスは「分煙基準が二転三転し、そのたびに新たな投資が必要になる。地域でもばらつきがあり、思い切った禁煙対策がとれない」と言う。

 同社は4年前から本格的に完全分煙化に取り組み、約1300店舗の9割超が分煙化を完了した。「喫煙者に比べて喫煙しない客の単価が高く、分煙による売り上げの押し上げ効果も出てきた」(同社)。ただ、分煙化に伴う費用は、1店舗当たり安くて数十万円、大がかりなものだと数百万円かかる。その大半を店舗のオーナーが負担する。

 ▽本末転倒の支援

 経済的な負担が重く、中小や零細企業では、分煙対策に二の足を踏むケースも出てくる。分煙がだめなら全面禁煙にしなければいけないが、屋内喫煙を全面禁止した英国やアイルランドではパブ全体の41%で常連客が減少し、パブ免許の交付件数が1割超も減った。

 厚労省の分科会の報告書は、受動喫煙対策に伴う財政支援の必要性を指摘した。受動喫煙の防止は大きな流れだが、経済に悪影響を与えれば、対策の普及が思うように進まなくなる心配もある。政府主導による規制強化の一方で、事業所や飲食店が分煙化に前向きに取り組める環境づくりが欠かせない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101216-00000092-san-bus_all

飲食店向けに特化した携帯メールフォローシステム「グルメール」月々3,150円
http://grmail.info/

【顧客囲い込み、アフターフォロー、リピート率UP、マーケティングに関するニュース・情報】
http://www.active-link.jp/