きれいな味わいの「新世代」日本酒

産経新聞 1月5日(水)9時40分配信

【2011こだわりのスタイル】(2)

 日本酒をワインのようにスタイリッシュに楽しむ時代がやってきた。生ガキや濃厚なクリームチーズとも相性抜群。業界通は改良に次ぐ改良で、「歴史上最高の味を堪能できる」と太鼓判を押す。日本酒の国内需要が低迷する中、若手の後継者や酒販店らが「革新性」をアピール。「悪酔いする」「オヤジくさい」といった負のイメージが払拭されつつある。(日出間和貴)

 ◆「0杯から1杯へ」

 JR東京駅構内。終日、混雑するターミナル駅の一角に「長谷川酒店」(東京都江東区)が出店する粋なバーがある。日替わりで並ぶ約20種の地酒。帰宅途中のサラリーマンや帰省客、観光客らがカウンターに座りながら、しばし旅情気分に浸る。ここで初めて日本酒を口にする若者も多い。「オープンな雰囲気が日本酒との距離を縮めている」と同店。

 隣接する売店では持ち帰り用の酒類も扱う。列車でほろ酔い気分になりたい人は1合瓶、土産用には4合瓶、飲食店の仕入れには1升瓶という具合に、用途に合わせた購入法が定着してきたという。

 〈ほのかな香りが立ち、淡い甘さでフレッシュ、フルーティー。雑味が少なく、きれいな酸ときれいな味わい〉

 日本酒をこよなく愛するライター、かざまりんぺいさんは著書『新世代日本酒が旨い』(角川SSC新書、819円)で「新世代日本酒」をこう定義する。青森県の「豊盃(ほうほい)」(三浦酒造)は、そのカテゴリーに入る銘柄だ。白ワインのような芳醇(ほうじゅん)な味わい。小さな蔵元だが、酒造りに揺るぎないコンセプトを持つ。

 「日本酒文化の喪失」を嘆くかざまさんは、利き酒などのイベントに参加するたびに「日本酒を知らない層に飲ませる工夫を」と若い蔵元らを激励してきた。

 時代の潮流をキャッチするには伝統一辺倒ではなく、新しい技や知識との融合が必要だ。蔵元や酒販店らで平成19年に結成された「和醸和楽(わじょうわらく)」。コンセプトは「0杯から1杯へ」。まずは日本酒に興味を持ってもらおうと、ビギナーや外国人を対象とした「SAKEセミナー」を定期的に実施する。「利き酒しながら気さくに会話をするのが最も効果的。日本酒のおいしさに気付く参加者が少なくない」という。

 ◆少量をおしゃれに

 平成22年春、秋田県で結成された「NEXT5(ネクストファイブ)」は、若手経営者5人が自社の醸造技術を交換し合うという異例の蔵元集団だ。酒造りを杜氏(とうじ)任せにせず、自らかかわっていこうとする点でも注目を浴びている。

 日本酒を提供するスタイルにも変化が起きている。升(ます)からあふれる注ぎ方は左党にとって“儀式”の一つだったが、最近は少量の日本酒をおしゃれに飲みたいという要望が増え、「1杯1合未満、その分格安」で提供する店が登場している。松山市の繁華街にある「蔵元屋」もその一つ。1杯100円から。若者や女性が日本酒を知る格好の機会になっている。

 海外で日本酒が「SAKE」として普及し評価が高まる一方、「国内では新潟の銘酒『越の寒梅』で止まったままという保守的な日本人が依然、多い」と指摘するかざまさん。「料理との相性という点で新世代日本酒はワインを凌駕(りょうが)する。日本酒をまだ飲んだことのない若者や女性に、最初の1杯目で驚きと発見をもたらすことが復活の鍵になるだろう」と期待を込めた。

 ■昭和40年代後半ピークに減少の一途

 清酒の消費量は昭和40年代後半をピークに減少の一途をたどっている。

 国内には約1500の酒蔵があるが、既に看板を下ろした蔵も多い。杜氏の高齢化に伴い、酒蔵経営者が杜氏を兼ねるケースも増えている。業界の先行きは不透明だが、味の改良や飲みやすさの追求、ワインのようなスマートなボトルの開発、飲みきりサイズのミニボトル化など、日本酒の“敷居”はだいぶ低くなってきた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110105-00000512-san-soci

飲食店向けに特化した携帯メールフォローシステム「グルメール」月々3,150円
http://grmail.info/

【顧客囲い込み、アフターフォロー、リピート率UP、マーケティングに関するニュース・情報】
http://www.active-link.jp/