“ガブ飲み系”で低価格帯の市場を開拓! 「マルシェ」のワイン食堂

2013.05.19

2008年9月に勃発したリーマン・ショックをきっかけに客単価が大幅に落ち込んだ外食・居酒屋業界は、低価格化か、新業態開発に活路を拓くかで、戦略を異にした。

 中小・個人経営の店は収益力が高く、低価格戦争とは一線を画すワインバル・ビストロなどに活路を求めた。底流にあったワインブームを掴もうとしたからだ。「日本外食新聞」編集長の川端隆氏がこう解説する。

 「ワインバルやワインビストロは、グラスやデカンターでワインを提供、客単価では4000円以上を狙っていました。ところがここ2〜3年の間に勃興してきたガブ飲みワイン系業態はボトルワインを2000円から提供、OLなど3〜5人のグループ客をターゲットにしました。その結果、ワイン業態としては客単価4000円以下の“空白地帯”市場を取り込み、ブームを作ったのです」

 ワイン業態は中小・個人事業者が先行開業したが、同時期に「酔虎伝」「八剣伝」など大衆居酒屋を展開していた大手チェーンのマルシェ(大阪市阿倍野区)もワイン業態に注目し、08年7月、大阪天満橋に「ワイン食堂BARVIDA」の1号店を出店した。マルシェ居心伝部兼新業態部の杉江賢二氏はこういう。

 「参入動機は日本にもヨーロッパ型の高齢化社会が到来する−それに対応する逸品料理とワインの飲めるバルというコンセプトでした。20坪程度の小じんまりとした店ですが、当初は店舗デザイン、メニュー、客層のターゲット、価格帯など試行錯誤の連続でした。それでもOLなど女子がグループで来店し、繁盛するようになりました」

 マルシェが「ワイン食堂BARVIDA」(ボトルワイン2000円〜)の2号店を大阪・福島区にオープンするのは11年5月のことだ。イベリコ豚のハンバーグ、牛ホルモンのトマト煮込みなどが評判になり、2号店も繁盛した。「ワイン食堂」と命名したのは昼と夜の二毛作経営を看板にしたからだ。こうしてマルシェは昨年から今年にかけて、「ワイン食堂」を合計8店舗出店した。

 「ビジネス街や住宅街立地など、いろいろ出店しました。ワイン酒場は15坪〜30坪程度、駅前の一流立地でなくても、坪単価2万円前後の1・5〜2流立地でも成功する確率が高いことが分かりました。昼は食事、コーヒーが主体。夜はワインなど80種類、フードメニュー90種類をそろえています。客単価は3000円」(杉江氏)

 マルシェにとって「ワイン食堂BARVIDA」は、久々のヒット業態といえる。マルシェでは今年は地方都市にも出店し、店舗数を増やす意向だ。

 ワイン居酒屋(酒場)が地方都市で成功するかどうかは、今後、ワイン居酒屋が全国的に通用するかどうかの試金石になるだろう。

 「普段着ワイン酒場」を東京・神田、芝に2店舗展開するグッドイマージェンス社長の臼杵慎氏は「ワイン酒場は東京、大阪、名古屋などの大都市部は通用するが、地方都市は難しいのではないか」と指摘する。

 けれども、マルシェの杉江氏はこういう。

 「ワイン酒場は地方都市でも成功すると思います。ワインブームは一過性ではなく、これからピークに昇ってゆくのではないでしょうか」

 ワイン居酒屋チェーンの問題点は、一頭抜きん出たビジネスモデルがないことである。いまダイナックワタミプロントコーポレーションなどが、ワイン業態のトップチェーンを目指し、シノギを削ろうとしている。 (外食ジャーナリスト・中村芳平)
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130519/ecn1305190710002-n1.htm


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